中国の消費に変化「爆買い→あやかり消費」あやかり?

時事記事
「家賃は無料です。その代わり毎月少なくとも10時間、高齢者に付き添えば無料です。」
この言葉を耳にしたことはありますか?
募集を出したのは、中国東部・浙江省杭州にある高齢者施設です。
2023年、大学を卒業したGさん(24歳)は、さっそく、応募してみました。高齢者の役に立つのならという思いもありましたが、家賃代が浮くことに大きな魅力を感じたからです。就職難のもと、苦労してプログラミングに関わる仕事に就いたものの、給与は低く、自分で部屋を借りることは簡単ではありませんでした。
Gさんが住み込みを始めた高齢者施設は1100人余りの利用者がいました。その一角の部屋をGさんはあてがわれました。毎月少なくとも10時間、施設の高齢者に付き添うことで、部屋の家賃が無料になる仕組みです。

若者たちは、面接や身体検査などで選ばれましたが、介護などの資格を持っていたり、勉強していたりするわけではないといいます。お年寄りの付き添いについても、若者たちは、高齢者の話し相手になったり、趣味を一緒に楽しんだり、スマートフォンの設定を手伝ったりと、簡単なものです。

若者たちは、面接や身体検査などで選ばれましたが、介護などの資格を持っていたり、勉強していたりするわけではないといいます。お年寄りの付き添いについても、若者たちは、高齢者の話し相手になったり、趣味を一緒に楽しんだり、スマートフォンの設定を手伝ったりと、簡単なものです。

「施設側は若者のために少しの経費を負担しているだけですし、若者たちも決して多くの労力を費やす必要はありません。彼らの時間や、ちょっとしたことを高齢者に提供してくれればいいのです。そうすることで、高齢者は、美しい生活の思い出を、若者は、成長の過程における素晴らしい経験を得られるので、若者と高齢者の双方にとって、非常に意義のある取り組みになっていると思います」
失業率15%
中国の若者たちは、今、生活の負担を少しでも小さくしようと考えるようになっています。若者の失業率は高止まりしていて、去年(2023年)12月の16歳から24歳までの失業率は14.9%となっています。景気の先行きも不透明な状況が続く中で、若者たちの間では、消費に慎重な姿勢が広がっています。
▼「コストパフォーマンス」を意味する「性価比」、▼「ブランド品ではなく品質がそれほど変わらない安い商品を選ぶ」という意味の「平替」という中国語の単語が若者の間では定着しています。また「理性的な消費」という言葉もニュースでは使われています。
さらにSNS上では、自分の節約や貯金の状況を共有するというトレンドも見られます。

中には、高齢者向けの低額サービスを利用する若者もいます。こうした動きは「高齢者へのあやかり消費」とも呼ばれています。その現場が、上海の中心部にありました。そこは「高齢者食堂」。

朝食、昼食、夕食をそれぞれ提供する、もともとは高齢者向けに作られた食堂です。

20代女性
1週間に2~3回は、高齢者食堂に来ています。上海の家賃は高すぎるので、生活はコストパフォーマンスを重視しています。高齢者食堂は値段の割に、ボリュームがある。生活の負担を抑えるため、私のまわりでも高齢者食堂を活用している人は一定数います。
70代女性
低価格の食堂は、高齢者にとっても若者にとっても必要と言えます。

中国の経済や地方財政が厳しくなる中、若者を取り巻く環境も、社会保障に頼る高齢者の生活も、過酷になっているという声を聞くようになりました。

そんな中、中国で減退する若者の消費意欲が「高齢者へのあやかり」を生み、さらには思わぬ形で若者と高齢者の新たな接点となっています。

コメント